リンパと健康
風邪を引いたとき、「リンパ腺が腫れていますね」と言われた経験をお持ちの方も多いでしょう。耳の下、首筋にはリンパ腺の集中する「リンパ節」と呼ばれる部位があり、体調を崩したときにはここが腫れてしまいがちです。
しかし、リンパ腺が腫れるとどうなってしまうのでしょうか?
この問いに答えられる人は、実は意外と少ないのです。
医者から指摘されるから「リンパ腺が腫れているとまずいらしい」という漠然とした知識は持っていても、そもそも「リンパ」がどういうものなのか、「リンパが腫れたらなにがよくないのか」を知らないケースも多々あります。たとえばリンパ節は耳の下のみならず体中に点在しているのですが、それすらあまり知られていません。
リンパとはいったい何なのでしょう?
リンパの正体
簡単に言ってしまうと、リンパは体内を循環する液体です。
血液と似たようなもので、「白い血」と呼ばれていたこともありました。
リンパはいくつもの役割を担っていますが、中でも重要なのは以下の2つです。
- 体の隅々から老廃物を回収する
- 細菌を退治し、ウイルスなどへの抗体をつくる
これらの機能を考えるに、リンパは体の調子を整える液体だと思って頂ければ間違いないでしょう。
リンパ節が腫れるとどうなってしまうのか?
もし耳の下や体の各部位にあるリンパ節が腫れてしまうと、どうなってしまうのでしょうか。
リンパ節が腫れてしまうのはその部位でリンパの流れが悪くなり、滞っているからです。リンパは体中から老廃物を回収し、おまけに免疫系の役割もこなすものですが、この流れが滞ると老廃物や疲労物質が排泄器官に運ばれなくなり、皮下の組織にたまってしまいます。
その結果として生じるのが、世に言われる「むくみ」です。
リンパの流れが滞ることにより発生する「むくみ」を医学用語では「浮腫(ふしゅ)」と呼ぶのですが、このリンパ浮腫に悩まされている患者さんの数は、なんと日本全国で12万人にも及ぶと言われています。
また、症状は常にリンパ浮腫という形で現れるわけではありません。ちょっとリンパの流れが悪くなるだけでも、肩こり、頭痛、耳鳴りなど様々な症状に悩まされることになり、私たちの日常生活に少なからず影響が出てしまいます。
では、その症状を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか?
リンパを流して健康になろう!
リンパの流れが悪化して不健康になるなら、リンパの流れを改善すれば健康になるのでは?
そうお考えになった方、大正解です。
滞りやすいリンパを上手く流してやれるようになれば、ちゃんと全身にリンパが巡って体が楽になるのです。
そのための施術法として最近脚光を浴びているのが、「リンパマッサージ」や「リンパドレナージュ」と呼ばれるものです。マッサージのような形で体の外側を上手く指圧すれば、リンパの流れを改善し、すっきりデトックスしたり体調を整えたりできるわけですね。
しかし、生兵法は怪我のもと、知識を持たずに行うセラピーは効果的でないどころか逆効果です。
正しい知識を持っていないと、リンパを逆の方向に流してしまったり、体の筋肉を傷めてしまうなどの問題が発生します。もしあなたがリンパに不安のある患者さんだったとして、自分と同じくらいリンパに詳しくない方に施術してもらって大丈夫でしょうか?
リンパ&セラピースペシャリストとは
リンパに着目した健康法をより正しく実践し、その効果を高めるため、本講座では以下の内容を取り扱います。(リンパの理論に基づくセラピー、施術を総称として、以下リンパ&セラピーと呼びます)
- リンパに関する正しい知識
- リンパやマッサージの来歴
- リンパ&セラピーの理論と実践
リンパに関する知識を持っていれば、リンパがどのように働くか、リンパが流れないとなぜ身体の調子が整えられないのか、といった疑問に自ずと答えが出ます。リンパに関する正確な知識を蓄えるのは、深い部分で理解し、効率よく施術を行うために絶対に必要なことです。
また、施術の方法論とその具体的なやり方を学べば、ご自身の体を健康にするのみならず、整体などの施術所でも腕前を発揮できるようになるでしょう。日本でもリンパマッサージやリンパドレナージュは流行していますが、まだまだ新しい分野であるだけに、充分な技術を持った人はけっして多くないのが現状です。正確な知識を持ち理論を理解している施術者は、引く手数多と言っても過言ではありません。
リンパ&セラピーエキスパートとは、リンパに関する豊富な知識を持ち、理論に基づいた説明と施術のできるプロのことなのです。是非みなさんも、体内を巡るリンパの世界に触れてみてください。