Lesson5-2 リンパ&セラピーに必要な道具

リンパ&セラピーに必要な小道具

マッサージ等の施術に必要な道具といえば、やはり患者が寝そべるための寝台が思い浮かびます。他にも、リハビリ用の訓練台、それにフットケア用のマットやフェイスマットなども場合によっては必要かもしれません。マッサージ店が用意する道具として、すぐに思いつくものとしてはこんなところでしょうか。

でも、リンパ&セラピーの場合は他にもちょっとした小道具が必要になります。肌のデリケートな部分に触れる必要があるため、なるべくクッション性のあるものを使って、肌を保護したほうがよいのです。

たとえば、マッサージ用のオイルやケア用のジェルなどを使うと、同じセラピーでもより安全性が高まります。そのまま触れてしまうと指先や手の皮膚とリンパ節周辺の皮膚が引っかかってしまったり、先ほどのLessonで挙げたようにシミを作ってしまう原因となりますし、場合によっては患者さんに余計な傷をつけることになります。

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オイルやジェルを使うメリットはそれだけではありません。リンパ節周辺の筋肉のコリを見つける際は、整体などと同じように少し強めに指圧しなければなりませんが、ここでもオイルやジェルを使えば指を滑らせていくだけでコリを発見できます。

もう一つのメリット?

また、オイルを使う場合には他にもちょっとしたメリットがあります。基本的にはオイルやジェルなどの潤滑剤は、リンパを流すための施術の効率をあげるためのものです。しかし、リラックス効果のあるアロマオイルを使う場合、体内のリンパのめぐりを改善しながら、同時にオイルマッサージに近いデトックス効果も得られるのです。

もちろんオイルマッサージとリンパ&セラピーは別物ですので、同時に二つのメリットを甘受することはできません。オイルマッサージはオイルマッサージできちんと行わなければ充分な効果が得られませんし、リンパ&セラピーも同様です。

自分のお店を出すとしても、アロマオイルとリンパ&セラピーを同時に行うという形で宣伝することは可能ですが、アロマセラピーとリンパ&セラピーは全くの別物であるということを理解しなければ、効果の薄い療法を同時に行うことになります。

そうなると患者さんの健康状態が改善されない恐れもありますし、違いをきちんと理解し、説明できるようにしておく必要があるでしょう。

オイルを使う場合の注意点

アロマオイルやジェルを使う場合の注意点をピックアップします。アロマオイルの教本を読めばもう少し詳細な内容に踏み込んで説明されるかと思いますので、ここでは特に注意を要する点についてみていきましょう。

原液のまま使用しない

アロマオイルの中でも特にエッセンシャルオイル(精油)と呼ばれるものは、成分を濃縮して抽出したものです。希釈用のオイルなどを使って1%程度に薄めることを前提として作られているため、原液のままではとても濃密な成分構成になっています。人体に悪影響が出てしまうこともありますので、原液のまま使うべきではありません。

オイルを飲まない

種類にもよるので一概には言えませんが、蛇やさそりの毒は実は食べてしまう分には安全であることも多いのです。血管に入ってしまうと重篤な症状を発生させる毒物であっても、経口摂取した場合は体内で分解・無毒化される、という種類のものがあるのですね。

逆に言えば、肌に塗る分には問題なくとも、口に入れてしまうと毒になってしまうものもこの世の中にはたくさん存在します。マッサージ用のオイルはそちらに分類される類のものです。

本来であれば身体に塗るオイルを飲むことはないと思いますが、飲料と間違えて飲んでしまう、顔に塗ったオイルが口の中に入るということもないわけではありません。オイルの中には毒性のあるものもありますので、取り扱いには注意する必要があるでしょう。

目や傷口、粘膜などへの使用は控える

オイルは体内に入ってしまうと毒になる可能性があります。吸収率の高い部位(粘膜など)や傷口には使わないようにしてください。患者の身体にオイルを塗る場合も、傷口がないかどうかきちんとチェックしておきましょう。オイルは血管内に入れないことも大事ですが、傷口を化膿させたりすることもありますので、なるべく敏感な部位には使用しない方が良いのです。

妊娠中の患者・小さな子どもには使用しない

妊娠中の患者の場合、オイルの成分がへその緒を通じて胎児に渡り、悪い影響を与えてしまう可能性があります。3歳以下の子どもなどは身体もまだ未成熟ですから、肌がかぶれるなどの副作用が出てしまう可能性もあります。専門的な知識がない限り、幼児への施術は控えましょう。

その他、てんかんやアレルギーなどの既往症がある方

マッサージオイルは血圧を高めてしまう可能性があります。ですので、高血圧の方やてんかんの症状をお持ちの患者さんにオイルを使うのは危険です。オイルの成分にアレルギー性のものが含まれる場合もあります。パッチテストなどで予め耐性を確認できない限りは、安全な潤滑剤を使うことにしましょう。

これらの注意点を守っていれば、安全にリンパ&セラピーを行えるようになるでしょう。